新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからないまま迎えた令和3年度の解剖学実習ですが、昨年度の経験を踏まえ、今年度は新学期の始まりと共に東北大学および東北医科薬科大学の医学部、そして東北大学歯学部の各2学年に在籍する学生約300名を対象として実施することができました。
既に3月の時点で、当会役員が3学部に出向く対面型のガイダンスの実施は危ぶまれていたため、昨年度同様今年度もビデオメッセージの配信という形で協力させていただきました。ここでは4月5日に実施されました東北大学医学部医学科の受講学生からの感想をいくつかご紹介させていただきます。

◎受講した学生からの感想
- 特に記憶に残っているのは実習前にいただいた言葉、そして初めての実習での経験です。解剖学実習が始まる前、先生と白菊会会員の方からのお話がありました。解剖学実習を経験するということは、医学生として後戻り出来ないところまで来たという意味だと自覚してほしい、という先生の言葉が特に心に残っています。実習を終えて、改めてその意味を深く噛み締めています。初めての実習の日に、家に帰り、誰にも伝えられない、言葉にできない感情に泣きくれたことを、今でも鮮明に覚えています。それでも実習に懸命に取り組めたのは、白菊会会員の方のメッセージが深く心に刻まれていたからです。それは、将来、献体し学生の前に横になる時に恥ずかしくないようにと思い、今をしっかりと生き抜きたいという言葉でした。その言葉を聞いた時、私たち学生への期待に背筋が伸びたのを思い出します。そして、この解剖学実習で、学べる限りを学び、その知識を将来社会のため、病気で苦しんでいる人のため使いたいと強く心に誓い、毎回の実習に臨みました。
- 解剖学実習のオリエンテーションの日、東北大学白菊会や、献体についての話を聞き、たくさんの方々のご協力のおかげで解剖学実習が成り立っているということを強く実感した。特に献体登録された方からのメッセージビデオが印象に残り、心豊かな医療人に、社会的弱者に優しい眼差しを向けられる医療人に、研鑽を積み人に幸せを届けられる医療人に、というように、それぞれの方の思いを聞き良い医師となるよう期待されていることを感じ、それに応えられるように頑張りたいと思った。
- 解剖学実習を始める前は、献体された故人の遺志を無駄にすることなくきちんと勉強できるのかという不安や、漠然とした恐怖を感じていました。が、大和田先生による解剖学実習の心構え、東北大学白菊会会員の方からのメッセージを聞き、きちんと学び故人やご遺族の意思を無駄にせず、今後の人生に役立てていこうという決意を新たにしました。
- 初めてご遺体を目の前にしたとき、全身から汗が止まらなかったのを覚えている。医師に求められる期待や、医師として働くことの重みを肌で感じた瞬間だった。白菊会の方からのビデオメッセージもあり、ただ自分がなりたい医師になるためだけではなく、ご献体やそのご遺族から託される理想の医師像も目指す必要があるのだと思った。